ちょっと色々詰め込みすぎた。
「桜姫 近藤史恵」角川文庫
とてつもなく大雑把にまとめてしまうと、梨園にまつわる謎を中二階の瀬川小菊が友人である探偵今泉と探っていく物語。一作目と三作目。共に恋愛ミステリー。
両作ともヒロイン(別々)が、実にしんどい恋愛をなさっている。
私のような恋愛モノに疎い読者から見ると、恋愛というよりも恋愛を拠り所にしてアイデンティティを模索しているようにも見えます。
…このブログで、これほど恋愛を連呼したことがあっただろうか。
推理小説として必須の『どうやって』という解はあるものの、物語としては解決というような割り切れるものが無いところが特色か。
あと『なにゆえ&どうして』が、首を捻るような設定。動機が弱いというか。
そんなわけあるかーい!というツッコミというより、もやもやとした感情とそこへ至るまでの状況を言葉にしてしまうと、そうなってしまうかもしれませんね?という、首肯しつつも首捻る、みたいな感じ。
ちなみに二作目を飛ばしたのは後味のやり切れなさを耳にしていたためです。
語弊があるかもしれませんが、ミステリーというより歌舞伎演目の解説・解釈本としてとても面白く読了。あまり馴染みがなかった〈義賢最期〉が観たい。
物語の展開に絶妙に歌舞伎演目が散りばめられている印象。
ぼんくら過ぎたので、〈桜姫〉の二重の意味に終盤でようやく気づきましたが、あの気づいた瞬間はなかなかの快感でした。
覚悟していたよりも読後感が沈まなかったのは、キャラクターの功績大。
特に、瀬川小菊。歌舞伎という魔物に魅入られつつ、現実とのバランス感覚を保っている彼の存在はお茶のような清涼剤。
深見屋さんの師弟、中村銀弥と銀京は赤江瀑作品にも御出演できそうです。
編笠と着流しにロマンを感じる。
ロマンというかダンディズムか。
BS松竹東急の大江戸捜査網をのんびり視聴。
あのテーマが流れるとワクワクします。
隠密同心=松方弘樹さんな記憶だったので、BS放送当初はいろいろと驚きました。
死して屍拾う者無しが無い!?とか。代わりに流れる、
生と死のデッドラインを突っ走るアンタッチャブル、彼らに明日はない
なんかいろんなモノ混ざってる。
オープニング映像から、東映な気配を勝手にキャッチ(制作日活)。
江戸を舞台にしたアンタッチャブル捜査というよりも戦隊モノな気がしてしまうのは、初代オープニングにおいて修羅雪姫(梶芽衣子さん)の斬新な短筒のせいでしょうか。
朱塗りの砂壁に花札突き刺さるとかお洒落すぎて素敵。
黒髪振り乱す殺陣バージョンも素敵。
樹木希林さん(当時は悠木千帆)の存在にも戦隊モノな気配を感じてしまうのは何故なのか自分でも不明。