イラストに惹かれて購入していた積読本を読了。もう2021年も半ばを過ぎてるが。
大森望編集、11人の作家によるアンソロジー。…11人ってそういう意味?
「竜のグリオール」から私の中では竹書房文庫の快進撃が続いています。
今回も、ああ面白かった!という内容。
ただ、私はぼんやりとしたSF好きなのでこういうアンソロジー本で様々な短編世界を知るわけですが、熱心なSF読者からすればアレもコレも別媒体でもう読んだよ、ということになるのかもしれません。
あと、コレとアレはSFか?という論もありそう。
特に好きなのは
『平林君と魚の裔 オキシタケヒコ』この要素の詰め込みは凄い。
銭(あえて銭と言おう)で頰ペタひっぱたくような宇宙論と、避けようのないであろう遥か先の滅亡をまっすぐ見つめてなお冒険するであろう種族。
爽快感とちょっとした哀感。平林君がカッコイイ。
『恥辱 石川宗生』私には幻想文学。とても良い幻想文学。銅版画で見たい世界。
『地獄を縫い取る 空木春宵』散らばった断片が、まさに縫い取られていく。
ある意味、幸福な結末なのかもしれないが胸が痛む。今もなお続いている地獄かと思うと肚すら痛む。
他にも、『年金生活 岸本佐知子』『あざらしが丘 高山羽根子』等々。
『歌束 円城塔』は、定家と利休を足してモダンに増幅したイメージ。
『トビンメの木陰 草上仁』はギュギュッと凝縮したスペースオペラ。
他にも、これはむしろ純文学というものでは?という読み応えのものや、腹抱えるほどのバカSF(褒め言葉)なのに現在の情勢でヒヤリとしたものすら感じるもの等。
食事だったら、お腹をさするレベルの多幸感。全部美味しくいただきました。