部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

図書館と山風とわたし。

思いのほか、なんだか長文。

 

 

 

「我らの山田風太郎 文藝別冊」河出書房新社

山田風太郎 別冊太陽」平凡社

 

どの文庫を再読しようか悩みに悩んだ挙句、総合解説的なムック本を読む。

この手の本は買ってパラパラ見て読んだ気になって、また気が向いたときにパラパラ眺めるの繰り返しなので(それがまた楽しい)、今回は始めから読んでみる。

何度読んでも、ぽろっとこぼれる一文(手紙とか日記)に山田風太郎の冷静な観察眼と解析&予見の鋭さを再認識して胸が震える、というか抉れる。この芯の強靭な勁さをユーモアで包み込んでいるのが、あの独特な諦観を醸し出すのかもしれない。

 

文藝別冊は辞書的楽しさ、別冊太陽は図鑑的楽しさ。

まだ見ぬどの作品もとてつもなく面白そうに思えて困る。

 

 

思い起こせば。

 

作品を一作も読んだことがなかったときは、『山田風太郎=えっちな忍者もの映画の原作の人』という認識だった(映画魔界転生の原作の人だとも知らなかった)。

 

暇つぶしに図書館で借りた魔界転生を読んで、脳にいろんな色彩が塗りたくられる衝撃を受けて文庫を買い求めた。あまりに苦過ぎる結末は苦手なので数点のみを。

 

暇つぶしに図書館で借りた「戦中派虫けら日記」を読んで、目からいろんなものがこぼれ落ちて日記シリーズを買い求めた。なんとなく、書店にある文庫が減っていた。

 

暇つぶしに図書館で借りた太陽黒点を読んで、私たぶんこの人の作品全部好きかもいや全部は無理かもだけど…という葛藤を抱えつつ目に入れば購入という決意。愕然とするほど文庫本棚にあるスペースが薄くなっていた。

山本タカトの絵が素敵な、ちくま文庫忍法帖短篇全集を買い逃したことを悔いたのもこの頃。

本がいつまでも流通にあると思うな、という幾たびも繰り返される教訓。

 

 

今年になって河出文庫の傑作選など出始めて小躍りしていましたが、来年は生誕120周年だそうで、これからの復刊なども期待しまくっていいのでしょうか。是非。

 

風太郎作品といえば。

宝塚歌劇山田風太郎と聞いたときは全く驚かなかったのですが、てっきりロミジュリな「甲賀忍法帖」だと思っていたので会津中将酒池肉林譚「柳生忍法帖」と知った時は驚きました。あれをも包み込んでしまう、すみれコード凄いな。

個人的にもっと驚いたのは。以前から、宝塚で山風作品合うって!と言い続けていた私に異を唱えていた知人が、既に観劇を複数回済ませていたということです。解せぬ。

 

どっかの歌舞伎座新橋演舞場、または国営放送とかで、「八犬伝(忍法じゃない方)」も舞台化や映像化して欲しいものです。あれは絵になる場面が盛り沢山。

気持ちの良いはったりのかまし具合では、劇団☆新感線も捨てがたい。

 

 

 

 

 

 

講談社さん、私、天野喜孝さん版の文庫で他のも揃えたいんです。

再版お願い。