部屋の窓際

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読書メモ「ベストSF2021」

 

 

「ベストSF2021 大森望編」竹書房文庫 

前回も広義なアンソロジーだったけど、今回はいっそう広くなった気が。

むしろ広義というより、思索的小説の度が強くなった気がする。

 

一番好きなのは『あれは真珠というものかしら 勝山海百合』。

さらっと読み終わる短編。とても美しくて可愛らしくて残酷さもあって哀しさもある。ポエムな感想になるけど、海辺で綺麗なガラス片(シーグラス)を拾い上げた感じ。

 

最高に気持ち悪いと思ったのが『それでもわたしは永遠に働きたい 麦原遼』。

世界観がなんとなく理解できるようなむず痒い感じですが、そこは面白い。とにかく主人公が気持ち悪い。その思考回路が理解できない。

 

私なりのSFにこだわると、他に印象的なのは、

『すべてのアイドルが老いない世界 伴名練』

『馬鹿な奴から死んでいく 牧野修』。

必ずアイドルネタが入るのは編者の趣味かな?とも思うのですが、いろんな要素が詰め込まれていてなかなかチャーミング。

牧野修さんの『MOUSE』が好きな人間にはこの世界観は心地よいです。