部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

2月5日 読書メモ「蒲団」

 

日曜日。快晴。ぼんやり過ごして、もはや夕映え。
あと1日休みが欲しい。タブレットの調子がいよいよおかしい。

 

朝。トーストとヨーグルト道。野菜スープ。
昼。ピザを貪る。罪悪感を消すために温野菜サラダ。ビール。
夜。まだ食べてない。雑炊と野菜炒めの予定。

ごろごろスケッチしながら、干し柿食ってお茶。お腹は壊さない。
録画しつつちょいちょい見てる「探偵ロマンス」。好きが詰まっている画面だが、まとめて観たいので我慢。

BSで「どうする家康」視聴。わーお。

 

 

橘外男日本怪談集 蒲団」中公文庫

 

「陰獣トリステサ」しか読んでいない私には、【あの橘外男の日本的な怪談集】というのが個人的なポイントでした。

前半の I には『蒲団』『棚田裁判長の怪死』『棺前結婚』。
後半の II は『生不動』『逗子物語』『雨傘の女』『帰らぬ子』。

強引にまとめると、前半三作品はゴシックロマンス系。後半の四作品は、怪談、もしくはゴーストストーリーの系統。私は断然、前半の方が好みです。

『棚田裁判長の怪死』は前半の草双紙味と、後半の音楽に表出する魔の描写が印象的。
罪もない子孫が先祖の悪業ゆえに祟られるという因果話のタイプ。

『棺前結婚』は、儚い幽霊のメロドラマか。
墓を暴いて捧げたはずの詩を取り返す偉大な詩人の例を想起すると、墓を暴いてもう一度結婚をすると言う医学博士の存在が面白い。憎々しい人物がそのまま放置されている点に幼稚な私は不満も覚えるのですが。

表題の『蒲団』がダントツで怖い。
血塗れの美女が現れるなどの怪現象や、何の罪もない人が巻き込まれる理不尽さなど怪談ものとしても単純に怖いし、最終的に発見される怪異の源の存在が怖い。
ちょっとこの原因の辺りが「陰獣トリステサ」な系譜を感じる。

『生不動』は、この内容にこのタイトルを付けたことに戦慄を覚える。

『逗子物語』は、和風ゴーストストーリー。取り憑かれるかもしれないという恐怖もひっそりと漂わせながら、優しさと哀しさもある。

『雨傘の女』は一瞬の怪異。怪異よりも哀しさが強い。

『帰らぬ子』が読後に一番ゾクッとした。
最初の我が子を幼いうちに失った親の語り口にホロリとし、無事に成長した子を失うまいと奮闘するホームドラマと、ちょっとそこに混じる不思議な訪問者の記録、と思っていたが、ラスト数行に死亡フラグを見たようでゾッとした。
私の読解違いかもしれないが。


以前読んだ「陰獣トリステサ」が、こってりした味付けのグラン・ギニョール趣味満載だったし、帯に日本最凶の古典怪談とあったので、身構えていたのですが意外なほど爽やかな印象。怪談に爽やかもないが。なんと言うか、奥ゆかしい。
トリステサがいろいろぶち込んで生クリームも乗っけちゃったカクテルだとしたら、こちらは珍味も控えめには添えてあるけどスッキリした日本酒って感じでしょうか。