部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

8月2日


金曜日。晴れ。
朝の空気は少し落ち着いてきた気がするものの、むわっと感は健在。
夏といえば、早朝の芝生にちっさい蜘蛛の巣が朝露でキラキラしているのだが、この夏はあまり見かけない。朝の時点で既に暑いからか。

毎朝の梅干し一個と白湯。
惰性で軽めの筋トレして、汗を拭って出勤。


朝。バナナ。グラノーラ。ヨーグルト。野菜ジュース。
昼。蕎麦定食。
夜。ちらし寿司。茄子の生姜焼き。胡瓜ともずく、豆腐の酢の物。焼き鳥数種。ビール。




ここ数日で「戯場國の怪人 乾緑郎」新潮社を読了。


東上桟敷
妹背恋ひ
冥府往来


新潮社の作品情報によると、

 

 

桟敷席を予約し続ける謎の人物の噂が立つ江戸市村座女形瀬川菊之丞、戯作者平賀源内、二代目市川團十郎、講談師深井志道軒、広島藩士稲生武太夫、大奥御年寄江島、さる公卿とその妹らを巻き込み、芝居小屋の地下で蠢く時を超えた怨讐、恋着、役者の業火等々、虚実のあわいを壮大に描き切る伝奇エンタメの極地!

 

伝奇ものに飢えているので飛びつく。
タイトルから当然のごとくオペラ座の怪人を連想し、『戯場國』という単語からどっぷり濃厚な歌舞伎世界を期待。

読了の印象は、エリックよりも傍若無人で歌舞伎要素よりも化物要素マシマシ。
初っ端が初心者にはこってりなBLで若干慄く。全体には恥じらいの男色が一刷毛。ドロドロの男女の愛憎劇が数種。微笑ましい初恋成就的なのが一編。
中盤までとにかく面白い。次から次へと有名人の登場。稲生武太夫でワクワク。
後半がちょっと強引に捲っている感があるのだが、読後感は満足。


深井志道軒、平賀源内という濃そうな人名に加え、江島生島事件、小野篁伝説や、八百比丘尼稲生物怪録、などこれでもかと材料をぶち込んだエンタメ小説。
芝居小屋という非日常の祝祭空間(この世でない世界)を主軸に、魑魅魍魎がバトル!と書くとスカッと活劇な印象になってしまうが、どちらかというと情というか念が降り積もって練りに練って沸点到達した趣き。

とにかくいろんな虚実交えていろんな伝承が出てくる。
実は、実は、実は、と展開していく様子がまさに歌舞伎か。

元凶であり、恋着凄まじい小野篁に関しては、長年追い求めたと豪語するくせについてるついてないでガタガタすんなよと思いつつ、映画「クライング・ゲーム」の一場面も連想。