「競売ナンバー49の叫び トマス・ピンチョン/志村正雄訳」ちくま文庫
探偵小説にも思えるが、一応、幻想小説のくくりで。
難解と聞いていたのでビビりまくって手にとった初ピンチョン。
意外にもすんなり面白かった。理解したとは言わない。愉しかった。
1960年代作品と知って驚き。
壮大な謎か、ただの悪ふざけか。トライステロ。
作中に出てくる『急使の悲劇』なるものにひどく興味をそそられる。
ジェイムズ朝復讐劇とあるのが、高山宏「アリス狩り」でジャコビアン流血演劇なるものを知った身としてはニヤリとせずにいられない。
レメディオス・バロからインスピレーションを得た作品なのか?
それともバロすらもパーツの一部?
パーツの多さと組み合わせを、浴びせられるままに呑みこんで(理解して、とは言えない)愉しんだ作品。
意味深に転がり落ちているモノを嬉々として拾い集め、好き勝手に夢想することを促すような演劇作品が好きな性分なので相性が良かったのかも、と呑気な推測。
調子に乗って、セカンドピンチョンで打ちのめされる気もしますが。