「裸のランチ ウィリアム・バロウズ/鮎川信夫訳」河出書房新社
再びの図書館本。
改めて表紙を眺めると、「ニューロマンサー」の延長線上の世界を想起。
私の認識能力が、サイバーでパンクな世界とドラッグでジャンキーな世界を混同しているからかもしれない。
不思議な言語(単語?名詞?)の羅列。ピリピリとした小さな放電。
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バロウズの「マルドロールの歌」だと思った。
マルドロールが連夜にわたって築かれる悪夢だとしたら、こちらは心臓の一拍ごとに散らばる悪夢。悪夢、と断定してしまうのは私の個人的見解ですが。
両者にやたら出てくる血と汚濁的イメージは、カトリックが強固であることの裏返し?
キレイはキタナイではないが、美しいものから汚濁へ。
汚濁から汚濁、そして汚濁。やがて美が浮かんでくるような錯覚。
実によく、クソが出る。無邪気の表れと見るべきか、殻を破る究極の一手がそれしか思いつけない生真面目な人の限界と意地悪く見るべきか。
一つの個性。多数の人物。実は一人だった、とも読める。
拡散と凝縮と。
本に〈物語〉を求めていた頃に比べれば、だいぶ馴染みやすい。
面白かった。理解に及んではいないが。