録画しておいた「探偵・由利麟太郎」を鑑賞。
変に現代に改変しなくても…って思っていたのですが、予想以上にしっくりして、しかもレトロ&怪奇な雰囲気も維持しているという素晴らしい一話でした。以前、図書館で「由利・三津木探偵小説集成」を読んだ時、怪奇ぶりは好みだけど動機やらなんやらなかなか力技が多いなあと思っていただけに。
養父の件には、うわー横溝あるあるか…ってゲンナリしたけど、むしろ改良だった。
それにしても、私の人生において初めて目にする動く由利先生が吉川晃司さん。
もう今後、『由利麟太郎は侍みたいな肉体をスーツに包んでマントの如きコートを翻していつ如何なる時も絵になるような人なの!!』っていう拘りが私の中で定着しそうで怖い。いやむしろ望むところです。
ちなみに、チビッコの頃の刷り込みで『明智小五郎先生は、いっつもスーツでニヒルな微笑みで眉間に皺があってクールでダンディな渋い声の美中年なの!!』という固定観念も未だに抜けきれません。絶対裸の美女が出てくるのも譲れない。
そのまま、これまた先日放送されていた市川崑版の金田一シリーズ「女王蜂」「病院坂の首縊りの家」を鑑賞。わあ、画面が暗い。
何度も観ているためか、感想が似通っているので昔サイトの日記に書いたものを少々改変して載せます。
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凡庸な人間の陳腐な感想をちょろっと。
幼い頃から見ていて飽きないのは、推理よりも美学が彩っているからではないかと思う。「情」を蹴殺すのも慈しんで懐に抱くのも、全て絡めて仕上げた作品群。それにしても。どの作品も女優さんが美しい。
個人的には「犬神家」か「獄門島」か。しかし、「悪魔の手鞠歌」は切ないし「病院坂の首縊りの家」の金襴緞子の狂気の白も捨て難い。「女王蜂」の仲代達矢のぽっかりとした虚ろな目はある種のトラウマ。なんなのだあの眼は。幼い時分に、テレビ越しに〈虚無〉というものの断片をそれと知らずに教わったのはこれではないかと思う。
今観ると幼稚(幼稚というか演劇的)ではあるが、血飛沫・血糊のなんともいえないもったりとした感じが絵金の血みどろな屏風絵を連想させる。地に根ざした血。何かを背負わせる質感。
子供の時には気付きもしかなったが、今観ると坂口良子さんが本当に愛らしい。清涼剤とはこのことか。
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昔の方がまともな感想書いてるかも。
このまま小説に突入するには、目がしょぼしょぼしているので画集を引っ張り出して眺めています。
「杉本一文『装』画集〜横溝正史ほか、挿画作品のすべて」アトリエサード
私にとって、横溝正史作品といえばこの方です。
ツヤツヤした真っ黒な背表紙を引っ張ると、おどろおどろしくもエロティックな世界が躍りかかってくるような文庫本は子供が見ちゃいけないものでした。
…目が凄いんだよな。眼光でも目力という単語でも表現出来ない。
あと、つるっというかヌルッとしたような質感。
それと乳首。いや真面目に。