8月も終わっちまいますが。
今年の夏休みもどこも行けそうにないな…ということで。
だいぶ前に録画しておいたものをようやく視聴してました。
まさかのファッション関連。
着ることには興味もないし知識もないが、映像を見るのは好きです。
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監督:ピエール・トレットン
出演:ピエール・ベルジェ、イヴ・サン=ローラン ほか
フランスのドキュメンタリー映画。
監督名がトレットンだったりトレトンだったりと揺れておりますがこちらで。
公私にわたるパートナーであったピエール・ベルジェが、イヴ・サン=ローランの死をきっかけに、二人で収集し愛蔵していた膨大な美術品をオークションにかけ見届ける、というのが大まかな流れ。
それを追いつつ、二人の出会いから晩年までをベルジェ氏が淡々と語る内容に、二人と関係のあった人々の証言や様々な映像を付加していくという…なんというか、美しいスクラップブック、といった感があった。
音と映像によるカタログ…一種の貼雑年譜か?
庶民の私が率直に抱いた感想は、
あるとこにはあるなー!!すげー家!!すげーインテリア!!
といった実に浅いものなのだが、とにかくまあ目の保養ではある。
あと、欧羅巴の芸術家たるもの一度は堕落しないといかんのか、といった怖れ。
視点のメインがベルジェ氏なので、ある意味偏った視点なのかもしれないが、それはそれでベルジェ氏の失われた時を求めて、を見ている気分。
ドラマティックなものを求める人には退屈かと思われるが、小説や映画を見るときの本筋とは関係あってもなくても形容詞に飾られた名詞や調度品といった小道具に目を向けてしまう私は結構好みでした。
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「SAINT LAURENT サンローラン」
監督:ベルトラン・ボネロ
出演:ギャスパー・ウリエル、ジェレミー・レニエ ほか
もう一作のいわゆる公式公認モノとは別の映画。
作品背景はいろいろと濃縮な10年間に絞り、上演時間は二時間越え。
映像が好み、あと音楽も面白い。
晩年のイヴをあのヘルムート・バーガーが演じている。
ドキュメンタリーでベルジェ氏も語っていたあの時期がメイン。
いつの時代もクリエイターは心を病まずにいられないという、消費社会の怖さよ。
そしてその消費社会を御そうとするビジネスマンの豪腕ぶりよ。
ナイトクラブ文化といい、6070年代って狂騒的なんだなあ。
ちょっと長くないか?と思いましたが、あの締めは良かったです。
ゲイ文化の描写は必要不可欠だろうと思うが、なんというかこう、スキャンダラスであることが必須な文化なのかなあと門外漢は思う次第。肉体的にも思想的にも。
率直な感想としては…みんな、身体を労りなされ。
眩さと喧騒に満ちたナイトクラブや、色々なものに塗れようと埋没する描写の狭間に、柔らかであったり病院のようでもあったりする白い世界(工房)が印象的。
輝いていた日々から転落し、再び光に包まれたのか、あれが最後の輝きだったのかは無知な私には不明。ただおセンチに、楽園追放、殉教昇天、来迎涅槃的な単語は思い浮かぶ。なんか違うの混じってるけど。
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読書も好きですが、視覚と聴覚で吸収しまくるのも楽しいです。