時代劇見つつ、数冊ほど読了できたのでメモ。
「雪月花」は装幀と装画に惹かれて購入し、寝かせていたのを読了。
本にまつわる、ちょっと興味を抱いたことや疑問を、書庫やら図書館やら古書街やら編集部やらを巡りつつ丹念に訪ね歩いていく私小説。追跡ではなく、訪ね歩く、が北村作品には相応しい。
そもそも私だったら疑問にすら思わない(知識が無いから疑問に思うことすら出来ない)点を追跡していき、あっちこっちに回り道しては付随したり関係なかったりする小さな発見をせっせっと収穫し、最終的に何らかの回答を得るのはまさに謎解き。
文学や詩歌がわかればもっと面白く読めるのだろうけど、そこそこ堪能できた、とは思う。これは読み手の私の技量の問題。
ゆき、の章は三島由紀夫から山田風太郎への展開で「お?」と思い、【笊ノ目万兵衛門外へ】の冒頭の句から近世俳句大索引へと出発し、絵画や柳多留や江戸文学を縦横無尽に転がりまわるのでど素人には目の回る展開。最後の三島の一文に「おお…」となる。
個人的には、ゆめ、の章が一番楽しい。乱歩やルパンと単語が出るだけで。
「ミステリは万華鏡」は気楽に読めるエッセイ。
気楽ではあっても、ちょいちょい本にまつわる謎解きは欠かさない。
叔母さんの書いたという未発表童話は、あらすじだけでもなかなかにヒリヒリしてキラキラするのを感じる。
常に柔らかい空気感を保つ人だと思っていたが、ミステリへの愛で珍しいくらい激しい部分も垣間見れる。あくまで、北村世界の比較でだけど。
本文とは関係ないが、大野隆司さんの挿絵が載っているのも嬉しい。
読了後に何となく興味を抱いて「いとま申して2,3」を購入。現在読書中。