部屋の窓際

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読書メモ「ゴシック解剖」

昨日は一日中金田一さんが駆け回ったいたのでちょいちょい視聴。

市川崑監督の映像を観ると、ゴシック絵巻…と思ってしまう。

 

 

 

 

「ゴシックの解剖 暗黒の美学  唐戸信嘉」青土社

ゴシックという単語を目にするとついつい手に取ってしまう。

頑張ってこの系統の本を読み続けていたためか、非常に理解しやすかった。

 

起源から始まって、<吸血鬼><人工生命><分身><廃墟><地下>という五つのテーマで【ゴシック】と呼ばれているものの特徴や本質を探り出そうとする内容。

ゴシックという世界観を考慮すれば、腑分け、とでも言うべきか。

歴史的言語的起源から中世のゴシック、18世紀末のリヴァイバル、20世紀の広範囲なゴシックがさらさらと記述されている。

さらさらと各作品のネタバレが転がっているのでネタバレ厳禁な人は要注意。

個人的にはゴシック作品は文章(細部)を楽しむものだと思っているので、あらすじ全開なのも問題ないとは思っていますが。

文学や絵画はもちろん、映像作品にも目配せがあり、「カリオストロの城」がいかにゴシックの作法に則っているかという部分は今更ながらに成程と思う。

個人的には<人工生命>の項で攻殻機動隊が触れられていないのが不思議。

 

 

ゴシックという世界観への取っ掛かりとしては馴染みやすいと思う。

惜しいのは参考図の少なさ。ゴシックは眼で見るものだと思うので。