部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

読書メモ「ゴシックの炎」

ミス・マープルのあとでポワロ観ると、インテリアの違いの凄さに驚く。

インテリアというかスタイル?生き方や精神の表現。

インテリアを馬鹿にするのは間違いなんだな、と今更に思い知る。

 

 

テレビ視聴と掃除の合間に読書メモの更新。

 

 

 

「ゴシックの炎」松柏社

デヴェンドラ・P・ヴァーマ/大場厚志、古宮照雄、鈴木孝、谷岡朗、中村栄造訳

 

ゴシックというタイトルで購入していた積読本。

副題は「イギリスにおけるゴシック小説の歴史 その起源、開花、崩壊と影響の残滓」。かなりぶ厚めな書籍でしたが、二段組では無いのと悲鳴をあげるほどの細かい字ではなかったので意外とすらすら読了。あくまでも自分比。

読み進めているうちにぼんやりと違和感(プラーツが最近?)(ちょっと奥ゆかしすぎないか?)を覚え、かなり古典的で王道な本だったことを知る。

 

ゴシックの成り立ちから、リヴァイバル、文学としての流れ、隆盛と没落、分流と可能性、ゴシックを求める精神的な分析などが記述されている、と思う。

ゴシック小説の萌芽を宿した作品から、オトラント城のウォルポール、ユードルフォのラドクリフ夫人、マンクのルイス、メルモスのマチューリン、その他にも数多の作家、詩人への言及と作品の抜粋も載っていて楽しい。

 

エリザベス朝演劇、シェイクスピア作品の持つ暗さ(神秘)、探偵小説への流れ。

超自然、歴史ゴシック、テラーとホラー。情感、ピクチャレスク、怪奇ロマンス。

愛と戦慄。愛と死。理性への叛逆。

 

基礎の基礎を学んでいるような面白さ、そして何気に熱い文章。

すらすら読了と書きましたが、混乱も少々。

各章通じて複数の同じテーマ(というか主張?)が若干形態を変化させながらも繰り返し綴られるので、こちらとしては「あれ?ここはさっき読んだ?」という戸惑い。

例えるなら、城内を散策すると目を惹く広間に何度も遭遇し自分がどこを歩いているのか分からなくてなってくるような感覚。まっすぐ上階を目指しているはずなのに一段下の階に戻っているような。酩酊感というより迷宮感。

その迷宮での戸惑いが、終盤で徐々に熱くなっていく文章で高揚へと変化。

まさに炎。