部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

5月2日 読書メモ「悪人志願」


火曜日。晴天。
車の中は炎熱地獄だが、外の空気は爽やか。
掃除して布団干しまくる。

肉体労働の合間に読書したり、ラクガキしたり。
いい加減に書類整理もしなくてはならないので、ファイル収納などのポイントをチェック。チェックするだけで片付けた気になるのは毎度のこと。


朝。フレンチトースト。ヨーグルト。
昼。ピザ。サラダ。ノンアル飲料。
夜。白米。春雨と帆立のガーリック炒め。海藻サラダにお高いカニカマ。冷奴。




「悪人志願 江戸川乱歩全集第24」光文社文庫
をパラパラと再読。

随筆集「悪人志願」「探偵小説十年」「幻影の城主」収録。
他、随筆三十四編を「乱歩断章」として。なかなかに分厚い。
主に「幻影の城主」あたりを再読。

乱歩の随筆の面白さに気づいたのは近年のこと。
初めの頃はある種の物語群に満ちている妖しくて陰惨な雰囲気にゾクゾクしていたのだが、文章をある程度は読みこなせるようになってくると、語り口そのものが好みなことに気づく。

愛する探偵小説を語るときは、適度な距離から的確に、緻密に、力強く。
もう一つの愛を注ぐ、人形やレンズ、映像、芳年などを語る文章は、粘っこく、熱っぽく、時に恥じらいながら、いつの間にか対象物を撫でまわすように距離を詰める。

銀色の活字への愛情は、出版とともにフェティシズムにも繋がっている。

乱歩といえば同性愛への嗜好も有名。
精神愛への嗜好、と訂正されそうでもあるが。
昔も今も、村山槐多の二少年図への思い入れは私には理解できない。
また、アーサー・シモンズに関する熱の入った論文(途中だが)は、精神的なものへの憧れは認めつつも、熱弁すればするほど、肉への執着をほのめかしている気がしてならない。


再読するたびにいつも思うのは。
大人になって芳年の作品集を手にしても、何かしら物足りなさを感じてしまうのは、乱歩の文章によって芳年の無残絵を知ってしまった(幻影の城主所収『残虐への郷愁』)からだと思っている。もっと恐ろしく美しいものがある筈だ、という感覚。