ここしばらく、西洋の幻想怪奇系統を読み続けていた。
もちろん好きで読み続けていたわけだが、ずっと集中しているとある日プッツリと読書欲が途切れる。プッツリ途切れるというか、凝り固まるというか。
幻想怪奇に限らず、あるジャンルをずっと読み続けていると、こってりと養分が溜まりに溜まってしまって、何か違うものが欲しくなる。スパイス効きまくったカレー食べてたら、急に薬味を堪能しつつ冷奴食べたい、みたいな。
そんな反動が生じるとき、とりあえず手にとってパラパラとめくる本が何冊かある。
シンプルに息抜きとしてめくる本を、酒絡みで三冊並べてみる。
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酒や珍味、そして人生を配した掌編小説。
どれもこれも唾が湧き、何かしら胸に残る。
楽しいだけではないし、悲しいだけでもない。
各話の登場人物に感情をのめり込ませるわけでもないのだが、柄にもなくじわっと何か染み出すような感覚があり、全てがしあわせであるように、などと思ってしまう。
何はともあれ、とにかく旨そう。
ほぼほぼアルコール率が高いのだが、清水のような味わい。
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三年におよぶギリシャ・イタリア(ちょっとイギリスも)の旅行記。
35年以上前の出来事なので、色々と環境が違っているのだろうが行ったことの無い私には、ザ・イタリア&ザ・ギリシャな情景が目に浮かぶ。
どんな旅行記もそうなのだろうが、旅の雰囲気と共に何かしらの人生観が点在していて、それをちょっと摘んでは噛み締める…気分。
それにしても実によく食べている。実に美味そうである。
簡潔な表現なのに、どうしてここまで美味そうなのか。特にパスタとワイン。
読後感は、常にキリッとした炭酸水。たぶん硬水。
「作家の酒 コロナ・ブックス」平凡社
ずばりそのまま。
26人の作家の、愛飲した酒や好んだ肴の写真が並ぶ。
美味そうだなあと、ぼーっと眺める。
他には何も考えず、ぼーっと眺める。
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それぞれに食欲を刺激されまくる三冊ですが、冷たい水を飲み干すような気分でめくっております。
たぶん、興奮で煮詰まった何かをスルッと流すシンプルな心地よさがあるのだと思う。