部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

5月7日 読書メモ「バレエ・メカニック」


火曜日。断続的に雨。程よい湿度。
連休明けの気分を代弁してくれるかのような曇り空でもある。
あまりに晴天だと過ぎ去った休日への思いが募りかねないし、本格的な雨だと違う方向に心が折れそうになるので、この程度の空模様が丁度良いかもしれない。

あー、次の三連休は二ヶ月先かー。


朝。バナナ、グラノーラ、ヨーグルト。
昼。ラーメン定食。
夜。卵かけご飯。納豆乗せ。キャベツとカニカマのコールスロー風。豚生姜焼き。長ネギ、エリンギ、豆腐の味噌汁。


食後、チョコとコーヒー。





「バレエ・メカニック 津原泰水ハヤカワ文庫JA

三つの短編、大きく一つの長編。
たいへん濃厚で面白かったのだが、面白いと感応しつつ理解が追いついていかない状態なので、正しく理解できているのかは不明。

ちなみに、背表紙の作品紹介文はこんな感じ。

造形家である木根原の娘・理沙は、九年前に海辺で溺れてから昏睡状態にある。「五番目は?」  彼を追いかけてくる幻聴と、モーツァルトの楽曲。高速道路ではありえない津波に遭遇し、各所で七本肢の巨大蜘蛛が目撃されているとも知る。担当医師の龍神は、理沙の夢想が東京に<砂嵐>を巻き起こしていると語るが……。『綺譚集』『11』の希代の幻視者、あまりにも精緻に構築した機械仕掛けの幻想、全3章。

 

「バレエ・メカニック」シュルレアリスムオデュッセイア
「貝殻と僧侶」SF寄り医療系ハードボイルド(?)
「午前の幽霊」芳醇で崩壊的なサイバーパンク


パワー漲る一話目。読むリズムを求められているのは気のせいか。
濃密な描写をゆっくり理解しようとすると物語の進行から振り落とされる。
いけ好かない芸術家の退廃的かつ停滞的日常が、凶暴なイメージの爆発に遭遇しシュルレアリスム的幻想譚冒険譚へと発展していく物語は、饒舌さと猥雑さに際立つ純粋さもあって唐十郎の戯曲を連想。
無邪気な夢想に飲み込まれた悪夢的世界と思いきや、都市というネットワークが脳のネットワークの代替えという衝撃。

二話目は王道的な半身モノの印象。
失われた人を求めて。かたや娘(意識的に)、かたや姉(無意識に)。
最終局面で半身との邂逅・結合かと思いきや、剥離。離別でなく。
脳神経の物語は視神経へ。

三話目は、世代のためかニューロマンサー的郷愁を感じる。
多重レイヤーの上書き空間は、過剰装飾の世界。
死をもデコレイトするテクノロジー。視覚と知覚。倦怠。物語の王道、母恋。
華麗に伽藍が崩れることを予想していたら、静謐な終着点。夏の庭。