部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

7月9日 読書メモ「ラギッド・ガール」


日曜日。
仕事している間は腹立たしいほどの青空なのに週末連日曇天&雨。
気圧のせいか頭痛が長引く。


朝。ハムサンド。バナナとヨーグルト。野菜ジュース。
昼。冷やし中華。砂肝のニンニク炒め。枝豆。ビール。
夜。白米。納豆。麻婆茄子。南瓜と玉ねぎ、茄子の味噌汁。


食後にコーヒーと塩羊羹。



今週もリアタイ大河。
ここまで凛々しい勝頼がいただろうか。
オンステージもこなす家康さんの本心を、目覚めたとみるか、闇落ちしたとみるか。
信長さんは、どこまで許されるだろう?と相手を試して失う人っぽい。拗らせすぎ。
そして何気に光秀のキャラがゲス方面に際立ちすぎ。
安土城での饗応の場が修羅場になりそう。


ラクガキ用のBGM探しにYouTube覗いてまんまと時間泥棒に合ってる。
なんなら気に入った曲をメモして、iTunes StoreやCD検索してる。





「ラギッド・ガール 廃園の天使Ⅱ/飛浩隆ハヤカワ文庫JA

『夏の硝視体(グラス・アイ)』
『ラギッド・ガール』
『クローゼット』
『魔術師』
『蜘蛛(ちちゅう)の王』

五つの短篇集。どれもグラン・ヴァカンスの前日譚。
『夏の硝視体』は<大途絶>からほんの三百年くらい経った夏の区界での出来事。ジュリーとジョゼとコットン・テイルの話。
『ラギッド・ガール』&『クローゼット』は、人間の世界。数値海岸誕生への序章。全ての始まり。または呪いの始まり。
『魔術師』は人間とAIの入り混じった世界。大途絶の真相。
『蜘蛛の王』はグラン・ヴァカンスの絶対的な悪役ランゴーニの誕生と諸々の兆し。これはもう、ファンタジーというか一つの伝承世界。


どれも面白かったが、四篇があまりに濃くて『夏の硝視体』は清涼な感。

『ラギッド・ガール』において仮想空間の前提というか仕組みというか技術的な説明が詳細に述べられているのだが、理系に疎いなりに大変に興味深い構造。直感像的全身感覚ってなんやねん!と突っ込みたくもなるが、【その特殊感覚】と【その感覚を所有する人物】のインパクトが凄過ぎる。ある意味、叙述ミステリーな気も。

『クローゼット』は素直にサイコホラー。
幾重にも折り畳まれていた恐怖(いろんな意味で恐怖)が開いていく一種の快感。
そして、あの人物マジヤベェ!という率直な感想。

『魔術師』は仮想空間の世界と現実世界が交互に混じる。ほのかなロマンスを絡めた異世界ファンタジー要素もありつつ、現実世界でのとある問題がピリピリと刺激する。
これはもちろんSFだけど(なんて野暮なこと言ってるのだろう)、こういう人権問題が生じないとは誰にも分からない。私が子供の時は、スマホなんて想像上のものでしか無かった。
もう一つ。錬金術、というものを真逆の二視点から眺めている感覚。
魔法ととらえるか、技術ととらえるか。

『蜘蛛の王』は単純に伝説の誕生として楽しんだ。これもまた一つの与えられた呪いの物語かもしれないけど。


末尾に作者のノートが付く。
ノートは、五作品についてのちょっとした補足のようなものだが、末尾にあるハードディスククラッシュ事件(当然ながら正真正銘現実世界)がそのまま作品へとの繋がりにも思える。
読まれることなく消えていくデータ。


読了後にもう一回再読。
面白かったというのもあるのだが、それらしき人物が各話にピースの如く散りばめられている。特に『蜘蛛の王』に出てくるとある人物に意表を突かれた。
グラン・ヴァカンス同様に、丹念に何かを拾い集めたくなる物語だった。