部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

9月23日 読書メモ「十三角関係」


土曜の朝。雨がまだ残る。暗い。
休みくらい晴れてくれ、と思うが読書には良いか。
休みといえば、土曜日と休日が重なり損した気分でもある。


朝。目玉焼きのせたトースト。カフェラテ。ヨーグルト。
昼、夜はまだ未定。


キューピー●ーワゴールド飲んで、これから所用で外出。





 

「十三角関係 山田風太郎傑作選 推理編」河出文庫

荊木歓喜シリーズの長編。凄い。

 


風車にぶらさげられ、ゆっくり回るのは足、腕、そして血みどろの美女の首。誰からも愛され信奉された娼館のマダムが無残なバラバラ死体で発見された。夫、息子、従業員、記者、麻薬取締官、謎のマスクの男ら十二人の誰が彼女を十字架にかけたのか?酔いどれ医者の名探偵・荊木歓喜が衝撃の真相に迫る、圧巻の長編ミステリー!

 

 

昭和グラン・ギニョールシリーズ、と勝手に名付けたい。
ゆっくりと回転し始めることにより始まる凄惨な死体発見場面から、ゴロンゴロンと転がり続ける物語。さながら地獄の火車か、運命の輪か。

ミステリーには必要だけど事件概要の説明って時に退屈だよなあ…などと思ってしまうのだが、事件当日のややこしい人物の来訪を3人の女性従業員(?)の証言で飲み込ませてしまう第二章でガッチリ確保され、結末を早く知りたいと必死に車輪を駆け回る齧歯類気分。
二転三転する物語。終盤まで一気に読了。
結末を、冷える感傷ととるか甘い冷笑ととるか。

短編にもあった汚濁の中から浮かぶ哀しさ、みたいな要素も多分にある。
汚濁すら良しとする包容力的な聖母的な存在と、汚濁をはねつける清純潔癖な聖母的存在。
あるいは、山田風太郎流の『美徳の不幸』か。ジュスティーヌ、ジュリエット。


荊木歓喜シリーズを二冊読んだ現時点では、キリスト教の要素(むしろ聖書か)が背景にあるのだろうか?と思ったり。荊木で、歓喜ってそういうこと?殉教?
しかし、歓喜先生はどちらかというか歓喜天な気もする。