部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

12月16日朝 今月上旬の回想&読書メモ「未踏の時代」


土曜日朝。どんよりという言葉しか浮かばない曇天。
寒いことは寒いが、師走ってこんなものだっけ?と思うぐらいには穏やかな冷え込み。
湯たんぽ抱えて穏やかも何も無いが。
心の底から寒いのが苦手なので、油断はしてない。

周囲でタチの悪い風邪が猛威を奮っている。
インフルでもコロナでもなく風邪。かなりの人数が撃沈している。
根性が入ったとでも言おうか、かなり引き摺るらしい。
いわゆるドライノウズで鼻が痛いため終日マスクをしているのが幸いなのか、今のところ健康体だが、年末罹患の悲劇は避けたいので睡眠時間を徹底。
どれほど早く寝てもいくらでも寝ていられる不思議。
布団の中から出たく無い。


朝。チーズトースト。昨夜のシチュー。バナナ。ヨーグルト。


日常に忙殺されるほどでも無かったが、だいぶご無沙汰してしまった。
遠方の友人からも冬眠始まったと思われたらしい。
冬眠、いい響きである。冬籠りと脳内変換。
学生時代から憧れたライフスタイルである。
童話のような冬眠が可能であればいいのだが、煩悩にまみれた人間なのでエネルギー削減どころか、無駄なエネルギーの浪費になってしまうオチではあるが。





今月上旬の書店散歩。
冬休みという短すぎる冬籠りに読むべく「創元SF文庫解説」をワクワクしながら注文。
ついでにサイエンス・フィクション大全」を購入。
ついでと言うのは、若干嘘。一度店頭で手に取り値段を見て撤退している。

大きく分厚い「サイエンス・フィクション大全」をパラパラ見つつ、一度挫折した文庫を引っ張り出す。

「未踏の時代 福島正美」ハヤカワ文庫JA

日本SFを築いた男の回想録、とある。
S-Fマガジン初代編集長である福島正美の回想録。
急死により未完。

子供の頃からSFが好きだった私だが、成長するに連れて巡り合うSFの猛者たちの文章に違和感を覚えていた。あまりに自虐的すぎるように感じるネタの数々。
SFってそんなに偏屈なのか?そんな面倒くさいものなのか?
さらに成長すると、なんとなく理解し初めた日本SFの黎明期。
その黎明期の当事者である福島正美の目から見た記録。
登場する人物名はキラキラしているが、その内容は全くキラキラしていない。
苦渋である。耐えて耐えてスカッとする、などということは無い。
編集と翻訳、そして無理解な社会への徹底抗戦(まさに徹底抗戦だと思う)。
ブラック過ぎる労働環境を指摘するのは野暮である。

山を乗り越えては沼に嵌り、さらに山越えしては沼にもがく。
(沼と言っても推し活では無い。いや、ある意味そうか?)

読み始めた当初、作家や名作にまつわるあれやこれを期待していた私は当惑して本を閉じた。
再チャレンジで読了。
カラフルで華やかですらある「サイエンス・フィクション大全」との比較で読んだわけでは無い。両者に繋がりを感じるから読み始め、読了した。

当たり前のようにSFを享受する現在の私にとって、SFを普及させてくれた大恩人たちの一人による苦渋のような記録の一部。様々な、『怒り』の記録。
未完、ではあるがおそらく完結していたとしても、ある意味「未完」であったのでは無いかと思う。

この『怒り(?)』の継続のようなものを「SFのSは、ステキのS +」にも感じるのは穿ち過ぎるかもしれない。