部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

1月13日 読書メモ「夏至遺文」


土曜日。雲は多いが午前中はまあまあ晴れ。
空気がビシバシに冷え込んでくるのを感じる。

休日なのに平日通り起床。体の重さが尋常じゃ無い。
魂を地球の重力に縛られているつもりは無いが、肉体は重力に逆らわず布団にくるまりたがっている。やらなきゃいけないことリストを思い浮かべ必死に起床。
休暇中は必要を感じなかったサプリに縋る。


朝。チーズトースト。バナナ。ヨーグルト。コーヒー。
昼。茹でたパスタにバターと刻みニンニク。コンビニサラダ。
夜。白米。きのこ類と豚肉メインの鍋。ほうれん草と人参の胡麻和え。塩揉み胡瓜。


食後、ウィスキーを少し舐めるに止める。
読書のメモ書きを清書(?)。






夏至遺文 トレドの葵  塚本邦雄河出文庫


塚本邦雄の文庫化まさかの第四弾。
夏至遺文」と「トレドの葵」を合本、正字正仮名を新字正仮名。
あの塚本邦雄作品を新字にするとは!と、残念なような驚きもあるが、新たに読み仮名を歴史的仮名遣いで加えているのは非常に助かる。

濃密な瞬篇集。
目次を見るだけでその美学に畏怖し、感想など書きようが無い。
好きな人にはたまらない作品群であることだけは間違いない。
畏れるほどに好きではあっても、辟易するような悪意と甘味も多々あるが。

解説を読むと、それぞれの刊行時の徹底した造本を想い憧れの溜息。
帯にある皆川博子の言葉『ときに辛辣、ときに哀切、ときに冷徹、そしてつねに美しい、砂金のような物語。』が全てを語る。

新しい主題を探る、ではなく不変の主題をいかに煌びやかに残酷に刻み込むかに心血を注いでいるような彫金群の感。
綺羅めかしくも詰め込まれる単語の数々は読者の知識を嬲るようでもある。
おそらく、試す、などという概念は無い。
天上の調べを奏でるようなフリをして、どぶ板の響きであったと素知らぬ顔で開陳するような趣き。ひたすら美しく、憎悪だったり、無関心だったり、嗜虐だったりする冷たさを描いた群れに、理想と幻想美を愛でたような蕾も混じる。ちょっとした諧謔も。
そういえば、珍しく男女間の愛情譚もあったな。

『絵空』は書肆季節社版の方が好み。
虹彩和音』と『空蟬昇天』は、文庫のままでも十分愉しめたが、刊行時の美学のままの手触りと視覚で読んでみたい。

カバー装画のヴィルヘルム・コタルビンスキの名前をメモ。