部屋の窓際

好きなものについて描いたり書いたり。

10月16日  読書メモ「二十世紀から出てきたところだけれども、」

 

日曜日。

曇天。東の空がやや明るめ。今のところ昨日よりは肌寒い。

 

伝七捕物帳」見つつ朝食。トーストとコーヒー。

ドラマだけでも正しい人が報われていてほっとする。

軽く近所の公園まで散歩。帰宅後ストレッチ。

肩こり先輩の同僚に教えてもらったやり方でやると結構汗ばむ。

 

伝七気分引きずって煎茶。

煎餅がないので仏壇のお菓子をひとつ失敬して、最中食べつつ更新中。

 

 

休日に読み続けていた本をようやく読了。

いつも著者名の敬称に悩むのですが、作家名に「さん」を付けるとこちら側に引きずり下ろすような気がしてしまうので敬称略で表記します。

 

 

「二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分 鏡明

本の雑誌社

 

なかなか面白い本の形態。そして予想外に分厚く、二段組。

 

荒俣宏の著作を読んでいると馴染みになること間違いない名前のひとつが鏡明

その鏡明が、本の雑誌で書き続けているコラムを精選して一冊の本にしたもの。

SFに特化した本を期待すると肩透かしを食うかもしれないが、本が好き、読書している人が好き、というタイプは面白いと思う。私は面白かった。

 

各コラムの末尾を見ると、1979年13号から2001年212号まで。

帯には、

 

この30年、5000冊以上の本を読み、2000枚近いCDを聴き、1匹、猫をなくした。

 

とある。

 

とにかくパワフル。

 

30年。ひとつ所にとどまって、ぼーっとしているだけの身でもそんな量は摂取すらできそうもないが、あの業界で世界を飛び回りつつも趣味に好奇心に邁進し続ける姿は「スゴイ」としか形容のしようがない。

体力や気力や、本や音楽の衰退の気配を嘆く文も見受けられるが、総じてパワフル。

ニコニコした笑顔の超大型ブルドーザーを想像してしまった。

絵的に言うと、渋くて血色の良いトー●スな感じで。

 

SF、ミステリー、ウェスタン、もうキリが無いからその他諸々。

フィクション、ノンフィクション、パルプな雑誌からハイブラウな雑誌まで。映像も音楽も。何よりも、摂取し咀嚼しつくすところが凄い。

ポップカルチャーを通じた哲学&社会学…というとなんか違うな。

 

前半部分は正直よく知らない単語(というか名詞)も多く、昔っから存在していたようにすら感じるあの作品はこの頃出たのかという歴史的(?)眺め。

中盤以降は、あの作家はその時まだ新人だったのか!あの作品ってそんな受け取られ方してたのか!という新鮮な眺め。

あえて付箋を貼らずに読み通したが、あの記事どこだっけ?と探し始めると、関係のない記事に目を止め読み耽り当初の目的を忘れる、そんな何かがいっぱい詰まった本。

 

また、本の刊行が2010年。

コラムに部分的に追記があるのだが、それも当然ながら2010年。

読んでるこちらが更に10年を過ぎているため、二段階で過去を眺めているようでもあってそれもちょっと面白かった。

 

 

単純だが、SFが読みたくなる。